料理と器の共鳴 有田焼の窯元を歩く ② 李荘窯業所

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李荘窯業所の寺内信二さんの名前は、今年、スペインのミシュラン2つ星Mugaritzで使われている皿を有田焼で作成したという記事で知った。それが寺内さんの器だった。

今回のフェアのために寺内さんが作成したのは、インパクトのある割れた器モチーフの鳩の絵皿。
これにはすでに先蹤があった。写真右下のが今回の器。欠けた形にもいくつかのパターンがある。

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どれも一般の人でも買えるという。
寺内さんは、初期伊万里の欠けた器からインスピレーションを得てこれらの器を作成したそうだ。

この器には、寺内さんの「器はそれ自体で完成されたものではなく、料理を盛って初めて完成されたものになる」という思いがこめられている。

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日本の陶磁器には、金継ぎという、割れたものの継ぎ目に金や銀、白金などの粉を蒔いて飾る独自の修理法がある。割れた前と同じものにするのではなく、割れる前とは異なる趣を楽しむのが特徴だ。

寺内さんのこれはそのさらにプリミティブな姿というべきか。割れたままの皿に美を見出し、割れたままをイメージして使うところがより前衛的だ。そういうものを思い出すと、ショールームのこのようなしつらえが、とても美しいものとして見えてくる。

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李荘窯業所のショールームで割れた皿以上にインパクトがあったのが、この球形のお重。
2年前に、伊勢丹新宿で六雁さんのおせちをいれる器として作成したのだという。

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リンク先記事にある通り、円形がずれないようにゆがまず上下が繋がるような成形や、重箱の中に仕切りをつけてほしいという店側の希望をかなえるのに苦労したそうだ。

それらの希望(オーダー)を通して、寺内さんは、
「料理を作る方の希望と窯元の提示がぶつかり合い、技術的なことを解決していく中でこそ面白いアイデアが生まれ、ひと段階高い次元のものができる」
と感じたという。器と料理の作製者が有機的に結びつく興味深いエピソードだ。

今回の、料理と器のコラボレーションは、パリのフランス料理店「Sola」の吉武広樹シェフ(佐賀県出身)とのフェアに続くもので、佐賀県は、2015年の有田焼創業400年記念事業として、このような試みを積極的に打ち出しているのだという。

私事になるが、佐賀県は私の故郷でもある。子どもの頃から有田焼について学ぶ機会も多く、泉山磁石場に学校遠足で行った経験などもあるのだけれど、実際の作成工程となると知らないことばかり。
今回の料理と器のコラボレーションという試みが、これからの有田焼の新しい可能性をひらくものになっていく期待を強く感じた。

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李荘窯業所
ウェブサイト http://www.risogama.jp
佐賀県西松浦郡有田町白川1-4-20
TEL:0955-42-2438


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