Italia incontra Giappone 徳吉洋二さん×岩坪滋さんコラボイベント@伊勢丹

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大混雑の伊勢丹新宿店イタリアフェア、最終日のラストオーダーぎりぎりに滑り込み。

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今回のフェアはいわゆる、よくある「百貨店の催事で提供されるイートイン」のはずが、実際には約20人がけの二面カウンターにテーブル8席、キッチン内はスチコンなどの大型なものも含め、調理器具も通常営業並みに豊富に持ち込まれている広々としたものだった。
岩坪滋さんの「il Pregio」(代々木上原)の若手の調理スタッフもヘルプで来ていらっしゃるようで中の人は10名近く。こんな恵まれた(?)百貨店催事のイートインは初めて見た。
伊勢丹サイトで公開されていたヤマザキマリさんの描き下ろし漫画も含め、招致した伊勢丹側の熱意を強く感じさせる。

知っている人間にとっては念願の……!というべき催事であっても、洋二さんの日本での知名度はイタリアにくらべてまだまだなのか、Twitterなどの反応を見ても、ヤマザキマリさんの漫画を見てこの催事における伊勢丹の熱意に気づいた方が多かったように思う。

今回の提供メニューは2人の合作とのことで、イタリアの北部ピエモンテ、その隣のミラノ、南のシチリアと、イタリア全土のエッセンスが盛り込まれている。

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①シチリアと言えば…
Parliamo di Sicilia…
豊穣の大地シチリアの様々な名産物(茄子・グリーンオリーブ・アーモンド・トマト・レモン・ケッパー・オレガノ・ウイキョウ・リコッタチーズ・パーネフリッテ)が織りなす重層的な味わい

②オッソブーコとリゾット・アッラ・ミラネーゼ いつでもアルデンテ
Risotto alla milanese con Ossobuco sempre al dente
ミラノを代表する郷土料理を新しくて楽しい表現で

③ピエモンテを旅して
Viaggiando in Piemonte
ピエモンテ州の5種類のソース(トリュフ・バーニャカウダ・サルサヴェルデ・トンナート・クーニャ)と野菜や果物のエキスをしっとりとローストした山形豚ロースに添えて

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Risotto alla milanese con Ossobuco sempre al dente
先月ミラノの洋二さんのお店で頂いてきたオッソブーコは、サフランソースのベースが少々異なるだけでほぼ同じもの。ミラノでは鶏と牛すねと野菜のだし、今回は鶏ベースで、コストの違いはあってもこれはどちらもありだな、と思う。
今回の食材は、すべて日本のものだそうだ。

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Viaggiando in Piemonte
豚ロースに添えられた5種類のソースで地域を表現するという手法は、昨年のTirpseでのフェアで見た、ローマを3つのソースで表現したリゾット(「3種の決めにくいソース」)を思い出す。

今回も、真ん中の豚は触媒のような役目で、周囲のソースが実質的には主役なのだろう。

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Tirpseフェアのときに出されたリゾRisotto al parmigiano…Indeciso パルメザンチーズのリゾット 3種の決めにくいソース)

クーニャはぶどうの季節に作られるぶどうジャムのようなソースらしい。この季節ならでは、と思い起こさせるもの。
ソースで地域や季節を表現できるのは、日本料理ではちょっと思いつかない。フランスにはあるかな? イタリアならではだろうか。
今回も、ミラノで出されたのと同じ、小松菜や梨をベースにした一口ジュースの「付けあわせ」が出ていた。

話は少しそれるが、外山滋比古が著書『考えるとはどういうことか』の中で、西洋と日本の思考の違いを、ワーズワースと芭蕉の詩の違いとして述べている箇所がある。
生まれた世界も世代も異なる二人の詩人は、詩について似たようなことを考えていたが、それをつきつめるために、ワーズワースは長詩で表現し、芭蕉は17文字の俳句にした。なぜそのような差が生まれるかというと、ヨーロッパの詩は建設的で、日本の詩は彫刻的だからだというのだ。

つまり、ヨーロッパでは相手との理解を深めるためにいろいろなものを(この場合は言葉を)足していく(建設的)、一方、日本人は理解の共通の基盤があったため、足していく必要がなく、逆に、全体像から共通理解に不必要なものを削るという方向に向かった(彫刻的)のだという。

イタリアと日本を、西洋と日本という大きな括りで単純化するのもいささか乱暴なような気もするが、今回食べたこの「5種類のソース」から、この話を思い出した。洋二さんとミラノで話をしたときに出た「日本料理の影響力の大きさ」と「日本料理と西洋料理の違い」について自分でも考えていたことから連想されたものだ。
今回の豚ロースのひと皿は、5種類のソースを足して、パレットのようにイタリアを表現している。

この話題については、その後専門の方から具体的なアドバイスを頂いたこともあり、自分の中では解決済みではあったけれども、考える切り口はいくつもあり、今後も考えていかなければならないテーマのような気はする。

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徳吉さん、岩坪さん、楽しいひと時をありがとうございました。

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閉店後、お店に飾ってあったヤマザキマリさんのマンガの複製を見ながら「俺この原画持って帰りたいんだけどダメ?」とご執心の洋二さんの図。

伊勢丹イタリアフェア
2015.9.29~10.4
伊勢丹新宿店


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