銀座のミシュラン3つ星店「すきやばし次郎」主人小野二郎さんを取材したドキュメンタリー映画です。
監督は30代のアメリカ人。本作が初めての長編映画だそうで。
外国人監督からみたすきやばし次郎の見え方は、私たち日本人と違ったものでした。
二郎さんを映像メディアで取り上げたものといえば、2011年に放映されたNHKの「プロフェッショナル」が記憶に新しいのですが、あれを見た方は、日本人と異なる視点に気づくことが多いかもしれません。
たとえば父親(二郎さん)と二代目、兄弟同士、弟子同士を比較して双方から語らせる手法をとっています。
兄弟、あるいは弟子同士どちらが才能があるのか、二郎さんがいつ引退するのかなど、日本人であればタブーとは言わないまでも、無意識に避けるような話題にも切り込んでいます。
映画では寿司を握るシーン以外は基本的に地味な映像ですが、そのぶん、語られるエピソードや内容はなかなか聴けない濃いものでした。
修業の最初は「まず熱いおしぼりを手で握れること」、「修業10年で卵焼き」など、飲食店の厳しい修業を知らない私たちには白眼をむきそうなエピソードもあり、寿司の美味しさの秘訣…などよりは、そのへんの細かいディテールが見どころ(というか、聞きどころ)かもしれません。
「最初にミシュランの調査員が来たときは二郎さんほとんど握ってなかった」
って最後の方で言ってました(笑)
3つ星の条件としてよく冗談交じりに語られる、「シェフがいなくてもシェフと同じ料理が出せるマネージメント力」というセオリーは、二郎さんのとこでも例外ではないといえるのかも。
余談。メモというか。
映画中で山本益博さんが語っていた「優れた料理人の五つの要素」。
1.仕事を一生コンスタントにやるという真面目さ
2.昨日より今日、今日より明日という向上心
3.清潔感
4.短気(ちょっと聞き取れず)。社会的に理解してもらえないかもしれなくても自分のやりたいことを押し通せること。
5.わがままさ(これは4に派生した要素?)。パッションを持っている人
二郎は鮨の夢を見る
(原題「JIRO DREAMS OF SUSHI」)
Dabid gerb監督、2011年、配給会社、80分
2013年2月2日より「ヒューマントラストシネマ有楽町」ほかで公開
http://jiro-movie.com/