シチリアで貴族の館に泊まる(ヴィラ・ヴァルグァルネーラ)

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イタリア・シチリア島北西部、パレルモの東約15kmの都市・バゲーリアに、18世紀に建設された貴族の別荘ヴィラ・ヴァルグァルネーラがある。
バゲーリアは、「ニュー・シネマ・パラダイス」(1989)で有名なジュゼッペ・トルナトーレ監督の故郷で、同監督の「シチリア!シチリア!」(2009)の「怪物の館」として有名なヴィラ・パラゴニアがある街として知られている。
バゲーリアは、パレルモの貴族が別荘を建てたことで発展してきた街のようだ。

バゲーリアには、ヴィラ・パラゴニアやヴィラ・ヴァルグァルネーラなど、貴族の別荘が何軒かある。
そのうち一般に公開されているのは、「怪物の館」ヴィラ・パラゴニアのみ。
今回泊まったヴィラ・ヴァルグァルネーラは、現在もご当主の母君ヴィトリア公爵夫人が住んでいて一般公開されていないが、数部屋を宿泊施設として開放しており、誰でも予約サイトを通じて泊まることができる。
8月にシチリアを訪れた目的のひとつは、このヴァルグァルネーラ荘に泊まることだった。

概要はこちらをご参考に。
敷地7000平米! シチリアの「貴族の館」120平米の離れに15,000円で泊まる(CREA WEB)

今回はレンタカーでパレルモから向かった。
電車でバゲーリア駅からのアクセスでも、それほど不便はなさそう。
ヨーロッパの市街地を歩いていると、貴族の館が突然現れることはよくあるが、こちらは、この屋敷が街のランドマークのようで、わずかに高台になっている。

総敷地面積は7000平米あるのだそうだ。
地図の「ヴァルグァルネーラ通り」は敷地内である。
あらかじめチェックインの時間を連絡しておき、裏口からインタホンで開けてもらう。
エントランスからお屋敷まで遠い……。

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これが「ヴァルグァルネーラ通り」。
この写真の先はまだ母屋ではなく、途中のエントランスなのだ。

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途中のエントランス。修復中のようで、覆いには完成図が描かれている。

宿泊は「使用人部屋」120平米

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今回泊まったのは、1泊約15,000円の離れ。
ありていに言えば使用人部屋である。
外の壁には、馬をつないでいた場所に必ずある鉄輪がある。
ベッドルーム、リビング、キッチン、シャワー室、リネン室で、占有面積は120平米くらいあり、使用人部屋といえども、東京の自分の家の3倍近くあるのだ。ちょっと気が遠くなった。

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ドアは正面と裏庭と2箇所。全部開け放つと、涼しい風が入ってくるので8月でもエアコンはいらなかった。
広大な庭と母屋の前の芝生は、住み込みの庭師さんが整備している。
夏の花が咲く裏庭も、外部の人が誰も来ない「専有部分」で、自由に過ごせる。

webで予約できるものの、この建物はホテルではない。
どちらかというと、民泊で1部屋貸してもらうという感覚に近い。
ホテルのようなサービスがない代わり、ホテルにはない自由さとパーソナルなコミュニケーションがある。
朝食は近所にあるスーパーで食材を買い、コーヒーマシンでコーヒーを淹れる。

現役の貴族の館に泊まるということ

母屋も見せてもらった。

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バロック様式の2階建て。
ご当主のお母様はヴィトリア公爵夫人。今もここに住んでいる。
お土産に日本からとらやのフルーツ羊羹を持って行った。
とらやはパリに支店があるので、欧州の人にも知名度があり、お土産として喜ばれる。英語のパンフレットも持参した。
マダム大喜び、「これゼラチンでなくて寒天で固めてるのよね?」とよくご存知だ。

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写真立てには以前のヴァルグァルネーラ荘のおもかげを見せる古い写真や、家族の写真が数多く飾られていた。

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ご当主の親族の写真。女優さんだそうで、推定50年以上前のこの洗練度と美しさには目を見張った。


ヴィラ・ヴァルグァルネーラで撮影された、ドルチェ&ガッバーナのCF(監督・ジュゼッペ・トルナトーレ、音楽エンニオ・モリコーネ)

歴史的な城や建物をリノベーションして宿泊できる場所は、日本国内・国外にかかわらず多い。
しかしこのヴィラ・ヴァルグァルネーラの特筆すべきところは、現在も住まいとして現役で使いながら宿泊施設としても開放されているところだ。

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つい数ヶ月前まで、ヴィトリア公爵夫人の息子(ご当主)一家も住んでいたそうで、母屋の子供部屋やリビングも、美しい状態に保たれていた。

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東向きのテラスからは遠くティレニア海を見渡せる。

「妖怪の館」ヴィラ・パラゴニア

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隣接するヴィラ・パラゴニアにも行ってみた。

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こちらは1715年にトンマーゾ・マリア・ナポリが、バゲリーア領主フェルディナンド・フランチェスコ・グラヴィーナのために建てた屋敷だ。
こちらもヴィラ・ヴァルグァルネーラと同じ2階建て。
中央の大きな広間。「鏡の間」と呼ばれていたらしい。天井はなるほど、鏡を貼っていた当時のきらびやかさをほうふつとさせる。

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ヴィラ・パラゴニア、建物自体はバロック様式のごく普通のインテリアだ。
その「怪物」はもっぱらエントランスの彫刻として建てられている。
60体は越しているらしい。一つ一つが奇妙というのもあるが、その量が過剰だ。
過剰さが奇妙さを生み出している。

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ゲーテはその著作「イタリア紀行」でこのヴィラ・パラゴニアをとりあげ、ずいぶん批判的なことを書いているようだ。これも読んでみなきゃ。

Villa Valguarnera(ヴィラ・ヴァルグァルネーラ)
所在地 Via Gramsci 27, 90011 Bagheria
URL http://www.villavalguarnera.com/

Villa Palagonia(ヴィラ・パラゴニア)
所在地 Piazza Garibaldi, 3 – 90011 Bagheria
URL http://www.villapalagonia.it/


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